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生まれたばかりの赤ちゃんを連れて2021年の秋に東京から移住してきた岡田輝喜さんと真奈美さん。輝喜さんは移住してすぐ、食用コオロギの養殖、加工、販売を行う会社を設立。吉備中央町にきて2年経った今、実際にどのような想いで事業に取り組み、また子育てを通して感じる吉備中央町の魅力を伺ってきました。
Q吉備中央町を選んだ理由を教えてください。
A(輝喜さん)
食用コオロギの生産ができる場所を北海道から沖縄まで調べていました。条件としては過疎地域、つまり人口が減少している農村地域。それから不便すぎない場所。例えば、何かを買いに行くのに何時間もかかるとか、商品流通用の高速道路が遠いとか、宅配便が簡単に受け取れないような地域は選びませんでした。それからワイン特区であるということがとても重要でした。
Qなぜ食用コオロギの会社を起こそうと思ったのですか?
A(輝喜さん)
東京ではタイ式マッサージの講師だったのですが、タイで会った日本人の僧侶が実は岡山市の足守の人だったんです。年に2回町おこしのイベントを開催していたのですが私も東京からマッサージをしにきていました。地域の方が出店していたのですが、そこで地方の課題を聞くことができました。せっかく作った農産物も規格外のもは大量廃棄することがあると、それを聞いてとても不安になりました。日本の食を支えているのが地方の農業なのに、そこに元気がないって・・・。そこで自分にできることが何かないかな?と思っていた時、タイで出会った「昆虫食」を思い出しました。色々調べてみると体にも環境にもいいし、新たな産業という意味でとても可能性を感じました。
Qワイン特区にこだわったのはなぜですか?
A(輝喜さん)
全国でワイン特区を選んだ理由は、まず長期保存できるお酒だということです。日本国内の酒類で唯一日本ワインだけが生産が伸びていて、これだ!と思いました。今現在ワイナリーを作る計画はないですが、「ワイン特区」は色々規制が緩和されるので、選定理由に入れました。
ワインを醸造する時に絞ったかすもコオロギの餌になります。コオロギの糞は畑の肥料になるので、何も無駄にすることなく循環させることができます。
特に岡山県はブドウの名産地で知見もあるので、産業として面白いなと思いました。
Q事業で苦労したことはありますか?
A(輝喜さん)
吉備中央町の特産品であるコシヒカリの米ぬかを利用しようという最初のアイデアがあったのですが、業界の中では使えないということになっていました。それが悔しくて絶対できるようにしたいと思いました。栄養価は足りていたけど、バランスが悪かったので、それを整えると生産ができるということがわかり、そこにたどりつくまでに2年かかりました。コシヒカリの米ぬかは引き取り業者もあるけど、全部持ってはいけないし、畑にも全部撒くことはできないのでとても効率が悪いです。それなら全部餌にしようと思いました。
Q商品について教えてください。
A(輝喜さん)
道の駅や知り合いの店などに卸しています。また、イベントなどにも出店しています。最近では倉敷市で開催されたイベントに参加しました。試食した人も実際に買ってくださった方もとても美味しいと言ってくれました。味に関しては業界内でも定評がありますし、誇りに思っています。今後の展望としては、嗜好品ではなく機能性という意味で、食用コオロギが、美容と健康にいいというエビデンスを立証して、うち特有のものを作りたいと思っています。私は、研究者ではなく感覚でやるタイプですが、まだまだやりたいことはいっぱいあります。それは純粋に吉備中央町をよくしたいという想いと、同じよう状況にある市町村はたくさんあると思うので、その打開策をここで成し遂げたいという思いで頑張っています。
Q東京での生活との一番の違いはなんですか?
A(輝喜さん)
ここでは、スーパーや飲食店がすぐ近くにはありません。東京では駅から1分のところに住んでいたので、飲食店も何百種類もあるし、肩が痛くなったらマッサージもすぐいけるし、洋服が足りないなと思ったら服もすぐ買うことができました。でも私は「コオロギの生産」という目的を持ってここにきたので、それほど苦ではなかったです。ここでは、大型スーパーには車で40分かかりますが、渋滞がありません。東京は、数キロ先でも何時間もかかることがあります。それに比べるとストレスがなくていいですね。
Q生活の中で何か変わったことはありますか?
A(輝喜さん)
東京の暮らしとはすべてがガラッと変わりました。特にお酒を飲まなくなりました。毎日仕事終わりに飲みに行くのが習慣だったのですが、今は週末だけになりました。実際にお店がないからという理由もあります。
Q町の制度は何を利用されましたか?
A(輝喜さん)
Iターン奨励金と法人設立のための創業補助金を利用しました。
Q子育てする上で東京からの移住に不安はなかったですか?
A(真奈美さん)
8年暮らした東京を離れて急に移住することになった時は、不安しかなかったです。出産して2ヶ月ぐらいで、「今しかない」と夫に言われて考える余地もなく来ました。今思うとコロナ禍の東京で育てるよりこちらに来てよかったなと思います。
Q東京でもし子育てしていたら現在と違っていただろうと思ことはありますか?
A(真奈美さん)
ご近所との関わりあいが違ったと思います。例えば東京だったら、隣の家の人の名前も顔も知らないのが普通です。子供は知らない人と話してはいけないという注意喚起の張り紙があちこちにあります。こちらはその逆で、会ったら挨拶したり話をするのが普通です。その文化が全然違うので、その点は田舎の方がよかったなって思います。
Q児童館や地域のコミュニティは参加していますか?
A(真奈美さん)
児童館を利用しています。生後2ヶ月でこちらに来たので、東京と比較はできないけど、とても少人数で大人たちの方が多いこともあって手厚くサポートしてくれます。でも子供にとってはもうちょっと子供が増えて刺激が欲しいなと思います。
病院が遠いということを除けば、環境的に子育てはとてもしやすいです。見ての通り自然がいっぱいです。東京の公園ではシャボン玉をしてはだめとか、ボール禁止とか、かけっこ禁止などの制約がある場所が多いのですが、こちらではそんなことを気にすることもなくのびのびと育てることができます。
Q今後子育てについて不安なことはありますか?
A(真奈美さん)
習い事の幅が東京に比べると少なくなるかな?ということです。もし、岡山市内まで連れて行くとなると送り迎えの時間ももったいないかな?と思います。
Q吉備中央町の魅力はなんですか?
A (輝喜さん)
私たちは、「コオロギの生産」という目的を持って移住してきましたが、2年住んでみてこの町はやはり子供がのびのびとできる場所が魅力だなと感じています。東京だとどうしても制限することばかり教えなければならないです。道を歩くにしても、電車に乗るにしても、買い物にしても暗黙のルールがあり、それをいちいち子供に教えることがいいことかな?という疑問があります。それが親のストレスにもなりますね。
A(真奈美さん)
吉備中央町では、ちょっとお散歩するだけでも自然と触れ合える環境はいいなと思います。虫とかお花とか四季を肌で感じられます。そんな子育てをしたい方にはとてもいい場所だと思いますよ。
岡田輝喜さん、真奈美さん、ご協力いただきありがとうございました!
昆虫食による循環型社会で吉備中央町を元気にしたいという熱い想いが取材を受けて伝わってきました。また、自然豊かな場所で、のびのび子育てしている様子が伺えました♪
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